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夏のさかり


by kaizoukaizou

濡縁の猫

さて、ブロック塀の穴にちょんとおかれた煮干。一日くらいたったころ、それがなくなっていた。それほど気にも留めずにいたが、なくなるとは希望がある。どんな生きものだろう。
カラスだろうか。うーん、タヌキかな。最近は都内でもタヌキがいるくらいだから、可能性はある。でも、やっぱり猫であってほしい。いずれにしろ、なにか近所にいるようだ。
それから数日たって、ついに女房がしっぽをつかまえた。
うれしそうに話すその生きものは、やはり猫であった。そして今度は息子も目撃した。どちらも猫で一致したが、毛の色、猫柄、大きさなどがちがう。そして、平日不在のわたしも、週末についに目撃することができた。そして、これまた二人の目撃した猫とはちがっていた。ここまでの証言を整理すると、なんと幸せなことに、わが家の周りには、4~5匹いることになる。
「バンザーイ」
それからほどなくして、わが家のちいさな濡縁には猫の食事が用意されておりました。ほぼ2年ぶりの猫の食卓でした。
濡縁の猫_c0241936_1111824.jpg

# by kaizoukaizou | 2012-02-23 11:01

猫の日

本日はブログ開設の記念日である。が、本日2月22日は猫の日なのだそうだ。そこで、まずは猫の話から。
かつて公団に住んでいた頃、こっそりと猫を飼っていた。この猫は西荻窪で生まれたノラだった。その地域の人たちが野良猫を大事にしていて、子猫が生まれると飼い主を募集するのだ。
女房とわたしは、いちばん小さい猫をもらってきた。じつに弱々しかったが、気が強いのが気に入った。だが、わが家に引き取られた猫は13歳と短命だった。獣医さんは、不治の病と言っていた。「猫は苦しくないですか」と問うと、おそらく老衰のように自然に逝く感じですといった。家族といるのがいちばんでしょうとも。
それから猫は寝たままとなった。一週間後、わたしたちは最期を看取った。未明の4時に亡くなったが、寝ていたわたしは夢に現われた猫に起こされた。最後の別れを告げるかのように。すでに女房と子どもは起きていて、かすかな呼吸がいたわしい猫のそばで、泪をいっぱいにしていた。猫はしずかに別れを告げていた。そして家族全員を見わたすと、やすらかに旅立っていった。
女房がお棺を用意し、猫は区の指定するお寺に葬った。
わが家の猫は、子どもが生まれる前に家族の一員となった。そんなこともあってか、子どもを叱ると、叱ってはいけないとばかりに、近寄ってきて手で制止するのだ。これを機に、家族の団欒がたもたれた。猫も人間もなんら変わるところがない。
昨年6月、わが家は古い借家を借りて引っ越した。その家には、猫の額ほどの濡縁がある。濡縁から1メートル足らずで、隣との境界となる低いブロック塀がある。秋の気配が感じられるようになったある日、にわかに女房がさわぎだした。
「けものの匂いがする」
といってさわいでいるのだ。「区民ねこ」といってはあちらこちらの野良猫をかわいがる女房。人一倍、生きものの存在に敏感だ。そしてある晩、そっとささやかれた。
「ひょっとすると、近所に・・・・がいるかも」
かくして、わが借家の狭い濡縁の前にそびえるブロック塀の穴に、煮干がそっと供えてありました。
猫の日_c0241936_20202796.jpg

# by kaizoukaizou | 2012-02-22 20:21